国際協同組合年に向けて
2023年の国連総会において2025年を「国際協同年」に定められた。
2012年に続いて2回目という珍しい決定であった。
この間、協同組合の価値が高まり、協同組合間の連携も進んでいるように思う。
しかし、協同組合人(協同組合で働く人あるいは協同組合に関わっている人)は
日本で1億人と言われているのに、その意識や、やっていることはなかなか浸透していない。
高齢協連合会第2回全国研修では、長野県高齢者生協副理事長・日本協同組合学会元会長の田中夏子氏を講師に迎え、
まず国連によって、協同組合とはどういう存在として認識されているのか?をはじめに講義が進んだ。
協同組合に求められる役割
国連は、協同組合に対して、
社会のあらゆる局面(格差・不平等解消・SDGs含む気候危機への対応、社会的排除との闘い、食料生産)において、非常に大きな期待と評価をしており、
その役割を各国政府に、制度、資金、協働を通じてバックアップすることを求めている。
近代的な協同組合の確立は1844年のイギリスロッチデール先駆者組合に遡る。
その原則が現在の協同組合原則にも生かされている。
国連に求められている協同組合の役割は、地域社会コミュニティへ積極的な関与をし、事業を展開する上では地域社会の幸福と、誰も排除しないすべての人のための平和で公正かつ環境的に持続可能な未来のための活動をすること、とされている。
平和や環境といった事まで求められるのは壮大に思うが、
日本における協同組合は、組織の大小に関わらず、
生協や農協など同じ目的をもった組織同士がその目的を果たすために繋がることが今まさに求められてるのだと思う。
※「マルチステークホルダー」とは聞きなれない言葉だが、
私たち高齢者生協の活動に置き換えてみると、利益だけを追求するのではなく、
働いている人と働いている人以外の組合員とが共に事業を構想し、
非組合員や他団体とも対等な立場で課題解決の議論や合意形成をしていくこと・・
まさに高齢協の3つの協同「利用者・働くもの同士・地域」に当てはまるものだと思えた。
高齢協にできること
講義のあと、グループワークを行い、
「高齢協の役割」や「高齢協らしさ」みたいな所の振り返りや議論を行った。
その中では冒頭に挙げたように、良い仕事を行っているにも関わらず
協同組合人として働いている人達の意識が薄いことへの問題提起が話された。
大阪では今年の国際協同組合年を機に協同組合の認知度を高める取り組みが検討されている。
最後に
田中夏子氏の言葉を借りて、
「私たちの協同は、仲間を守ることを軸にしつつ、しかしそこに留まらない広がりをつくることを求められている。国連が協同組合に期待する担い手となるために」
このことを常に意識しつつ働く人や組合員さんとの協同を深めていきたいと思う。
副理事長 西田寛子
用語解説
※1
マルチステークホルダー(プロセス)とは
三者以上の関係者(ステークホルダー)が対等な立場で課題解決の議論や合意形成のプロセスに参加すること。
※2
マルチステークホルダー型生活協同組合とは
活協同組合=消費組合員、財・サービスの利用者組合員の組織であると同時に、
生協に働く職員(利用組合員でもあるが、その立場にとどまらず)も、
生協組織にとって重要な位置づけである=利用組合員+労働する組合員の組織
―田中夏子氏の資料より引用―