協同労働推進ネットワーク阪神は、労働者協同組合法施行翌年に設立された、大阪府、兵庫県で協同労働を実践・志向する市民や団体のネットワークです。10月17日に開催されたパネルディスカッション「女性にとっての働くこと」というテーマに惹かれ、WEB参加しました。
* 個性あふれる3つのワーカーズコープ *
― ひとりひとりが時間をかけて「発酵する」働き方 ―
ちまちま工房@箕面市
代表 永田千砂さん
一般企業から豊能障害者労働センターを経て、一人一人を大切に、人を切らない、分けない、多くの人とではなく、障害ある人もない人も、ともに働く「ちまちま工房」を立上げ。豆腐屋さんの継承を始めたが、北部地震の被害を受け閉店。そこで、自分たちが発酵して地域の中、街の中でおいしい関係性を創っていくという思いをこめて「発酵食堂」(売っているのはカレーやごませんべい)を開店されたそうです。
労協法施行前から協同労働の実践者だった永田さん、ちまちま工房10周年を迎え、「30分働くのは無理やけど15分なら仕事できる人」そういう小さなカケラを集めてカタチをつくる「お味噌でどっこいプロジェクト」を企画中で、芯の通ったおおらかなキャラクターが、まわりを巻き込んでじわじわ発酵中!
― 誰もが有機農産物を食べることができる社会 ―
労働者協同組合 and@茨木市
代表理事 清水直子さん
「コープ自然派おおさか」の組合員で作ったワーカーズコープ。レトロモダンな空堀商店街(大阪市)で百年続いた金物屋さんを改装した「オーガニックスペースからふる」の運営を通して、国産オーガニックをひろげ、未来に夢を持てる社会の実現をめざす。というと固い感じですが、清水さんの語り口は気さくでフレンドリー。「食の安全」を求めて、生物多様性、脱原発・汚染水放出反対、ストップ温暖化など様々な活動をされてきてー地域(国民)の3.5%の人の考え方が変わったら、社会が変わるーそういう人達を増やしたいという思いでandを作ったと、明るく話されました。からふるは生きづらさを感じる人達がちょっとほっこりできる居場所も提供しています。
― メディア作りを活動の軸とした10代の子達の居場所 ―
労働者協同組合 こども編集部@神戸市
代表理事 金井智美さん
信頼できるおとなとの出会い、学校外で、学びたいことが学べる、未来へのヒントもらう、漫画のようなノリ、そんな自分が10代の頃欲しいと思ったような場所、それがこども編集部です。40代のおばちゃんたちの、ほぼボランティア団体を2023年法人にしました、と語る金井さん。企業や行政の依頼業務や、こども達の「やってみたい」はもちろん、大人達が「伝えたい」プロジェクトなど目覚ましい実績を残しています。現在10代のこども編集部員は40人弱、大人サポーター8名に多くの協力者が加わって運営。出来る人が出来ることをする、をモットーに、同じ立場のフラットな関係で、時間と労働力と知恵と経験を寄せ集めて『一人の人間』を作っているイメージ、収入も1人分くらいです、という言葉がすごく印象的でした。
*コーディネーター酒井京子さん(大阪市職業リハビリテーションセンター所長)
「労働者協同組合は、自分ができることを仕事にする、人に仕事を合わせる、ができるところですね。
改めて女性として、働きづらさを感じたことは?」
永田―二十歳の頃から障害系団体で、皆が対等、全員で会議、全員で稼いで全員で分配というとこだった。
協同労働って難しい、けど考えて話してって言う働き方はめちゃめちゃおもろいなって。
ただ自分の言ったことは全部ブーメランのように返ってくる。
そういうのって、なんでか、わからんけど、女性のほうが強い。
清水―子育てしながらフルタイムってしんどい。
私は自由に、コープ自然派のこともするし、andの仕事もしてる。
金井さんの話を聞いて、子供をおろそかにしてるかもって胸が痛むけど、子供は結構自立しています。
金井―女性の役割がどうこうというより、女性やから子供も産みたい、仕事もしたい、
全部楽しみたいって思って先々を考えて作戦練ってきました。
自分のキャパを見て、自分の身をけずらず、を意識しています。
この後、参加者からの質問や応答など紙面に書ききれない充実の学習会、私にとっての「協同労働」がぐっと身近になりました。これからも協同ネット阪神の動きに注目です。
事務局長 田中いずみ
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